七転び八起き

ハロプロと、恋人のキツネさんとの同性同士の同棲生活。

ファラオの墓〜蛇王スネフェル〜 観てきたよ

今年も劇女(モーニング娘。'18)観てきました

今年も劇女、観てきましたよ〜!!!毎年6月の楽しみ、モーニング娘。さんたちの演劇です。わたしはLILIUMから入ったクチで元が舞台畑のオタクなので、毎年とても楽しみにしています。それが故に舞台ヲタ目線で厳しめになっちゃうこともあるけどね!

(昨年の厳しめ感想とあゆみちゃんの女になった感想↓)

 

ここからネタバレしますので、気になる方は観劇もしくはDVD鑑賞後に読んでくださいね。

 

 

去年より断然お話が良くなってた

f:id:ao-re:20180614194705j:image

去年はブログ冒頭で、

どんなにキャストが良くて、頑張ってても、演出と脚本が合わなかったら「良かった」とは言えない!!(ごめんね…みんな…)

とはっきりと主張させていただきましたが、今年は脚本も演出も随分と良くなってたと思います!!原作寄りで、もやっとするシーンが少なかったです。

アンケスエンとサリオキスの恋についてはガッツリと削られていましたけれど、その分スネフェルとメリエト皇太后やナイルとの関係にしっかりと時間を割いたことで、「蛇王スネフェル」の副題にふさわしい内容になっていたと思います。

昨年はね、スネフェル様がほんとに傀儡の無能な王に見えてしまっていたの。例えばスネフェル様が結婚を宣言する前のシーン。ただナイルとの逢瀬を思い出してぽや〜っとしてて、大臣たちの話を聞いていなかったように見えた。でも今回は、もちろんナイルにべた惚れ感は残しつつも、「民を幸せにする」というスネフェルの決意とともに結婚の話が語られて、恋によってスネフェルが変わったんだ、両親の温もりを感じずに育ち歪んでいったあのスネフェルが、と心を動かされた。

あと、昨年最大のもやっとポイントだった、アンケスエン様の最期問題。これも、サリオキスとの恋の場面を削ったことで無理にアンケスエンを劇中で死なせず、原作アンケスエンの気高さのエッセンスを更に取り入れてくれて、よかったと思う。(何度も言うけれども去年も演者は良かった。去年のふくちゃんアンケスエンの、貴族らしい落ち着いた雰囲気とスネフェルに対する皮肉屋感が大好きだった。)たった二時間の中で、あの壮大な原作のどの部分を取り入れるかという意味で、良い選択だったと思います。あんまり余計なことに惑わされず、スネフェル様の美しくもつらい物語に浸りきることができました。ほんとスネフェル様かわいそう…。ナイルと幸せになってほしかった…。

曲も整理・追加されてよりよくなっていましたね!一個だけ、楽しみにしてたイザイの復讐するシーンの曲がなくなってたのは残念でしたが、また別のところでちぇるちゃんの圧倒的歌唱力が楽しめたのでよし。

 

スネフェルあゆみちゃんを褒め称えたい

実は最近ちょっとあゆみちゃん熱を拗らせすぎてあんまり語りたくないんです。大事すぎてわたしの胸のうちだけで留めておきたいし言語化できない想いもいっぱいある。でも、頑張ってあゆみちゃんスネフェル様の素晴らしさについて言語化してみます。もしかしたらあゆみちゃんも観てくれるかもしれないし!(あゆみちゃんは謙虚な子だけどちゃんと賞賛を受け取ってすくすくと育ってほしいと思ってる。)

素晴らしかった。本当に凄かったです。

あゆみちゃんは今年はファラオの墓再演で昨年と同じ役、さらにタイトルにもあるようにスネフェルの側を深掘りする内容です。ダブル主演でもないし。きっとね、すごく重圧があったと思うんですよ。

でもね、想像を超えてきました。彼女は。あゆみちゃんのそういうところ、とても尊敬する。

インタビューであゆみちゃんは「原作を読んで感じたスネフェルの美しさを取り入れていきたい」と語っていたけれども、本当に美しかった。顔や髪の毛の感じもね、もちろんそうなんだけど。指先の使い方とか歩き方とか。去年よりもずっと洗練されていて、線の細い青年王感を感じました。

そして、舞台上のたたずまい。劇女を見てると、演技経験が浅くて本業ではない彼女たちは、時に棒立ちに近い状態になる子もどうしてもいて。仕草が似たようなものばっかりになってしまったりね。でも、あゆみちゃんは違った。本当にスネフェルとして、そこに存在していた。椅子に座る、立つ、目線を動かす、詰め寄る、爪を噛む、椅子の上で背を丸める、睨みつける、せせら笑う……。自分が台詞を喋っていない時でも常にスネフェルとしてそこにあった。

わりと彼女、演技が濃ゆいほうだなと前は思っていたんですけど、今回のスネフェル様は力が入りすぎてないというか、自然で。とても良かったです。

歌もねーーーーとても良かったんだーーー。スネフェル様が最初にひとりで歌う歌で、うるうるしてしまった。泣くシーンでもないのに。あゆみちゃんの努力を感じて。ちっとも音をぶらさなかったし、堂々とした歌声だった。王様らしい響きだった。ハロヲタの中には、あゆみちゃんのこと、ダンスはうまいけど歌はもう少し、ってイメージを持ってる人もいるかもしれない。でも、この、毎年毎年進化して少しずつ上手くなっていっている感じに、わたしは心動かされてしまう。この舞台にかける意気込みを感じたし、多分彼女はもっともっと良くなっていくぞ、と思った。今年のあゆみは、すごいぞ。

 

印象的だったシーン

スネフェル的クライマックスは三つあります。ナイルの死のシーン、ナイルを失った後のメリエト皇太后とのシーン、サリオキスとの最期の対決シーン。ナイルの死のシーンでは客席のすすり泣く声を聞きながらぐっと涙をこらえたのですが、メリエト皇太后とシーンはもうダメだった……。そのあとずっと泣いてた……。サリオキスとの対決シーンはあゆみちゃんがかっこよすぎて泣いた……。

一個一個語り出すととんでもない長さになるので簡単に。

ナイルの死のシーンは鉄板の泣かせシーンなのですが、ナイルを自ら刺したあとの優しくて悲痛なスネフェルの声が本当に切なくて…。ナイルの本心をアンケスエンから告げられた後のスネフェルの慟哭が痛々しすぎて…。ほんとうに辛かったです。

メリエト様のシーンでは(汐月しゅうさんのバリバリの女役は初めて見ましたけど超美しかった!!!)、メリエト様に詰め寄り嘲るシーン、毒で崩れ落ちるシーン、その腕に抱かれて力なく「幸せです」と語るシーン……。抱きしめるなんて簡単なことなのに、なんでそれができなかったのか、と、運命に翻弄されたメリエト様と「親に愛されなかった子」として育ってしまい素直になれなかったスネフェル様のことを思い、胸が張り裂けそうでした。もっと早く、こうしてふつうの親子として触れ合えていたら、なにかが変わったのかな…。

そしてラストの大階段でのサリオキスとスネフェルの対決シーン。またね、サリオキス役の加賀楓ちゃんが、体格もすらっとしていながら骨格がしっかりしてて「男の子!」って感じだったのがよくて。剣道も長くやっていたという流石の剣さばきだし。あゆみちゃんはあゆみちゃんで、あんなに細いのにダンスが得意でしなやかな筋肉もあって。(衣装から出る腕の綺麗な筋肉に惚れた。)昨年も同じシーンを演じていたこともあってあゆみちゃんの殺陣ももちろん素晴らしく。あゆみちゃんとかえでぃーの二人だったからこそ、ずっと目に焼き付けておきたいくらいの名シーンになったと思います。何度でも見たい。

 

特に印象に残ったキャスト

そしてあゆみちゃんの他に、特に印象に残ったキャストについて書いていきたいと思います。

小田さくらちゃんのナイル

相変わらずお歌がうますぎる。ちょっとした鼻歌ですら美しい。去年ハープの演奏だったシーンがお歌になっていたのですが、この歌声なら楽器なんかいらないよねーという感じ。いつものカッコいい歌声とは違って砂糖30杯入れた紅茶みたいな声音でした。あまあまだった。

野中ちぇるちゃんのイザイ

イザイさんは、昨年のかえでぃーもめっちゃかっこよかったんだけど、ちぇるのイザイもすごくよかった。ちぇるちゃんは背が小さめなので、最初みんなを率いるような迫力に欠けるかなぁ、なんて思ったのだけど、歌が始まった途端にぎゅんって強制的に納得させられた。歌声で捩じ伏せられたって感じ。瞬間的にちぇるの女にさせられた。低くて迫力も艶もある、強い声でさーーー!!!最高だったーーー!!!もっと歌って欲しかったーーーー!!!(殺陣は、今後に期待、かな!)

まーちゃんのジク

まーちゃんのジクが最高すぎた!!!まーちゃん悪者ほんとに似合うな〜〜〜。終始気だるげで、ヒヒヒっとかヒャハハって感じの悪者な笑い声で笑うし、歌のシーンも声が超絶悪かった!嘲笑って感じのニュアンスを常に滲ませながら歌うの、ほんとにすごい。歌のラストの「逃げて!」ってところでまーちゃんがぐわっとこちらに振り向くところ、ぞくっとした。まーちゃんの歌、曲調も最高だったなぁ。和田さんありがとう。まーちゃんが最高に生きる曲を書いてくれて。

ふくちゃんのトキ

ふくちゃんは語りがうまいなぁ、と思ったし、砂漠の鷹軍団の歌の時の旗を掲げた姿は勝利の女神か?と思った。ふくちゃん大好き。

横山ちゃんのルー

よこちゃん超絶可愛かった。出てきて歌い始めた瞬間、なんて可愛らしい子なんだろうかとメロメロになってしまった。スネフェル様のことが自分なりに好きなんだろうなぁ、一生懸命お仕えしてるんだなぁ、っていうのがわかって、もうほんとに可愛かった。しかしかえでぃーと合わせて、13期は本当に推せる。今後に期待しかない。

 

演劇女子部とあゆみちゃんの今後に期待

以前こんなツイートをしたのですが、わたしは演劇女子部ってハロプロが新規ファンを獲得するための大事なチャンネルだと思っています。 

実際、リリウムを舞台ヲタのお友達に見てもらったら、大体において絶賛なわけですよ。リリウムを見てからハロ現場に来た人もわたしも含めて、たくさんたくさんいる。だから、ファンクラブ先行でほぼ埋まるようなキャパの会場じゃなく、もう少し広い劇場で、舞台ヲタに受けそうな演目や固定ファンがついてる演出家さんにオファーして、舞台ヲタもこちらに引っ張ってきたらいいのにと思います。演技が苦手な子ももちろん中にはいると思うけど、外に出しても恥ずかしくない演技をする子も何人もいるし。

正直言って古典的な少女漫画原作ものが、舞台ヲタにウケる題材であるとも思えないんですよね。もちろん、これまで題材にしてきた作品はいずれも名作で、それ単品では素晴らしいのだけど。彼女らのポテンシャルであれば、オリジナル作品でも演じきれるしお客さんも呼べると思うんだけどなぁ。

そして今回主演でスネフェルを演じきったあゆみちゃん。どうかどうか、こちらの畑に来ていただけないでしょうか。あゆみちゃんを推すものとして、卒業後の進路が舞台女優だったらどんなにいいかと思わざるを得ない。それくらい今年のあゆみちゃんの演技はすごかった。あゆみちゃんだったら、梅棒さんみたいなダンス中心のところと一緒にやるのもいいだろうし、2.5次元だってもちろんいける。夢の続きを、見せてよ。あゆみちゃんを卒業しても追いかけていきたいよー。

 

感想はこんなところ!今年も楽しみをありがとうございました!来年も楽しみにしています!残る大阪公演も、終わってすぐの武道館2daysも頑張ってください!!

 

とても面白い原作↓

あまりオススメしない去年のファラオの墓↓

演劇女子部「ファラオの墓」 [DVD]

演劇女子部「ファラオの墓」 [DVD]

 

新曲もよろしくお願いします!!↓

 

【Amazon.co.jp限定】Are you Happy?/A gonna(初回生産限定盤SP)(DVD付)(モーニング娘。'18?オリジナルポストカード付)

【Amazon.co.jp限定】Are you Happy?/A gonna(初回生産限定盤SP)(DVD付)(モーニング娘。'18?オリジナルポストカード付)

 

 

今回のDVDは9月に出るって!!!楽しみ!↓

演劇女子部「ファラオの墓 ~蛇王・スネフェル~」 [DVD]

演劇女子部「ファラオの墓 ~蛇王・スネフェル~」 [DVD]

 

 

 

極上文學 風の又三郎・よだかの星を観てきました。(3/11 マチネ)

やっと観られた極上文学

f:id:ao-re:20180312073734j:image

MAG.net 公式サイト - MAG.net 公式サイト

 

ずーっと生で観たいと思っていた、極上文学。
今回の「風の又三郎・よだかの星」を観てみたら思った以上に素晴らしかった。
宮沢賢治、じつはあんまり得意じゃなかったのだけど、役者さんの言葉で紡がれるとこんなにも綺麗な音、情景として表現されるのかとびっくりした。東北の豊かで厳しい自然の情景や、宮沢賢治独特の幻想的なきらきらとした景色があざやかに目に浮かぶようだった。
演者さんの力と演出の素晴らしさが、文学作品のもともとの言葉のうつくしさを引き立てているんだと思う。文学作品の世界観の中に浸れるあの時間はとてもとても幸せだった。(べつの作品もDVDで観たことがあるけど、やはり作者さんごとにことばの選び方や世界観が大きく違うなあというのを、実際に言葉で読み聞かせられると実感する。)

 

お話のこと

お話は、「風の又三郎」がメインにある中で、学校の生徒たちが読む本の中に「よだかの星」があるという構成。そして風の又三郎の「一郎」の家族構成のところに、少し「ひかりの素足」のエピソードが混ぜられている。
感想が、うまく言葉であらわせない…。キャッチコピーが「これは“さいわい”と“さびしさ”のおはなし。」だったのだけど、まさにそういう感じ、としか言い様がない。表現できないけれど、とても感情を揺さぶられる物語だった。
風の又三郎では、こどもの残酷で鋭敏な感性で拒絶されてしまい、さよならも言えないまま去るしかなかった三郎や残された一郎、嘉助の視点での「さびしさ」ももちろん感じるのだけど、みんなで一緒くたになって遊んで、空を見上げた時の幸福感、一瞬のきらめき、そういったものもあのラストだったからこそより一層強く感た。
よだかの星では、だれからも拒絶されるよだかのさびしさも感じたけれど、一方で傲慢で偉そうな鷹から殺される前に、いのちを振り絞って飛び、星になって美しく輝くよだかには、悲しく寂しいだけではない、別の感情も感じて何度も思い出しては考えてしまう。(誇りとか、決意のうつくしさとか、あのとき感じたことに名前をつけようとしてみたけれど未だ上手くいかない。)
なんだか、人間って、こんなに繊細で複雑な感情を持つことができるんだっていうことを改めて目の前で見せられたようような気持ちで、驚くような嬉しいような気持ちになった。「さいわい」も「さびしさ」も、「怒り」「喜び」に比べたらずいぶんと淡い感情。でも、そのなんとも言えない感情を確かにわたしたちは感じているんだなぁ…。それを物語を通じて表現できる宮沢賢治も、それを表現してしまう役者さんや演出に関わるすべての人も、物凄い…。

 

納谷くんのどこか神秘的な「少年感」

風の又三郎では、本当に納谷くんの演技と存在感が素晴らしくて、納谷くんのデビューの頃から観てきた身としては、着実に役者として成長してきている彼に、誇らしいような気持ちになった。
じぶんとは明らかに違う見た目で使う言葉も違う、よそからやってきた三郎を、少年たちは色んな意味で特別視する。それは「風の又三郎」というおそろしい風の精としての側面もあれば(原作にはないけれど、「ひかりの素足」のエピソードが加わり一郎の弟が風の又三郎に連れ去られたのではないかという疑念を少年たちにつぶやかせることで、より一層少年たちの恐れの気持ちがわかりやすく表現されていたと思う。)、おそらく豊かな家庭に生まれ、賢く美しい三郎に惹かれ、仲良くなりたいと思う側面もあったと思う。
そんな三郎という役の説得力があった。納谷くんの、透明感のある整った顔つき、背の小ささ、手つきの美しさ、そして意外と低めの声…すべてがあの役のためにあるかのよう。たよりなげな子供の仕草と表情をしているときの彼と、低めの声を存分に操る「風の又三郎」としての彼。どっちも素晴らしかった。可愛いのにどこか妖艶な感じがするところがよい…。ガラスのマントを羽織ってそらを飛んでゆく前の、ぶらぶらと足を揺らしながらセットに斜めに座って、つめたい感じの表情をしているシーンが神秘的でとても好きだった…。
最終的には、少年らしい残酷さで村の子供たちは三郎を拒絶し、村の子供たちの前から三郎はいつの間にか姿を消してしまう。最後の、「二人はしばらくだまったまま、相手がほんとうにどう思っているか探るように顔を見合わせたまま経ちました。」というシーンでは、なんともいえないような気持ちになった。きっと後悔もあれば寂しさもあれば、安心するような気持ちもあって、いろんな感情が渦巻いていたけれど、ことばにならなかったのだろうなあ…。あれから、三郎はどうなったんだろうなあ…。残された村のみんなは、ずっと、ちょっとした傷や不思議な思い出として、あの頃のことを心のどこかに仕舞ったまま生きていくんだろう。そしてきっと、三郎とのことが、ほんのすこし、その後の人との関わり方や人生にも影響していくのだろうなあ。
ちなみに、ラストシーンにほんの少し、行く末を暗示するシーンが付け足されていたけれど、わたしは、ちょっと蛇足かなと思った。どうなったのかな、とそれぞれが思いを馳せるというのがよいのではと思う方なので…。

 

藤原さんのよだかのせつなさ

そして、ふじわらさんのよだかの星。
ふじわらさんは、なんという凄いひとなんだろうと思った。
かなしいひと、さびしいひとを演じさせたら誰よりうまいと思う。ふじわらさんが演じるからこそ、あんなにも心を動かされて、泣いてしまった。
「よだかは、実にみにくい鳥です。」という言葉から始まるこの物語でよだかは誰からもただみにくいというだけの理由で疎まれるのだけど、彼は最初から、ずっと不安げで儚い表情をしている。鷹から酷いことを言われたときの返し方も、これもちょっと上手く言葉にならないのだけど、なんでこんなふうにうまく表現できるのだろうという感じ。星に願いを告げるときの必死さも、もう他に行くところがないのだという切実さを感じる叫びだったし、最期のシーンですこし柔らかい表情をするところも、すごく胸を打たれた。
……はあ。ほんとうに、感想にならない。うまく言葉にならない凄みのある表現だった。そして一方で、言葉にして分解するのがもったいないくらいの演技だった。

ほんとうに技巧も心もある人だよ…。彼のお芝居に真摯に向き合い続ける姿勢を、本当に尊敬します。彼のよだかを見られて良かった。

 

ひととは「ちょっと違う人」のさびしさ

あらためて感想を書いていて、風の又三郎もよだかの星も、まわりと「ちょっと違う人」の孤独を描いているなと思った。宮沢賢治は、どちらの作品でもわかりやすい「救い」を描いていない。だからこそ、見た後しばらく考えこんでしまった。
よだかの星を観たとき、よだかと自分自身を重ね合わせたりもして。世間一般とは少し違うパートナーのいるわたしは、もちろん世間の理解も深まっているとはいえ、よだかのように家族に迷惑をかけるからと関係性を自ら断ち切るようなこともあるかもしれない、とか。
まわりと「ちょっと違う」人はひとから拒絶され、孤独の中に生きる。それは、きっと人生の終わりまでつきまとう孤独なんだと思う。関係性を結ぶ努力が実を結ぶこともあればそうでないこともある。よくある物語では、前者が美しく描かれるけれど、風の又三郎やよだかの星は後者の物語だと思う。
でも、その「人とはちょっと違う」人の姿が、又三郎のように美しい思い出や傷として人のこころに残ったり、よだかよのうに自分自身が満足できる最期を迎えられて美しい星として存在できるのであれば、その存在意義があったと言えるのかもしれない、なんてことを思ったりもした。

宮沢賢治は、安易な「救い」を描かないからこそ、やさしい。そんな気がした。彼は東北の貧しい地域のなかで裕福な家に生まれ、苦悩しながらも農村の人々のために尽くしたというエピソードがあるようだけれど、彼も孤独を感じながら自分の信じる道のために命を燃やしたのかなあ、なんて想像した。

ピカレスクセブン感想(ネタバレあり)

ピカレスクセブン、観てきました。

年始早々、少年社中さんのピカレスクセブンを観てきました。キャストもセットも衣装も、少年社中二十周年にふさわしい豪華絢爛さだったと思います。………が、どうしても気になることがいくつかあって、心から楽しめなかった、というのが正直なところです。

 

改めて言いますが、役者さんは本当にとってもよかったです。
主演の宮崎秋人さんの身体能力やネアカさ、顔のあらゆる穴からすべての汁を出し切るくらいの体当たりの演技。鈴木勝吾さんの妖艶さ、殺陣の美しさ、苦悩の演技の巧みさ…。それらをさらに引き立てる演出と衣装とセット。
初めて演技を拝見した相馬さん、細貝さん、丸山さんはそれぞれに美しく個性的で、演技も達者。また別の機会に是非、演技を拝見したいものだと思いました。
ネバーランドを観ていた身としては、唐橋さんと鯛ちゃんと井俣さんのかけあいはほろっとくるものがありました。そして、唐橋さんと鯛ちゃんって舞台にいるとそれだけでちょっと嬉しくなっちゃうようなかわいらしさがあるんですよねえ。二人が舞台上に出てくるととても楽しい気持ちになりました。
ジャック役の佃井さんも美しいやらスタイル超絶良いやら殺陣もものすごい上手いやらで観ているのが楽しかったです。
そしていつもの社中さんのメンバーも相変わらず抜群の安定感で。特にファントム役の堀池さんは衣装と動きの美しさがわたしの性癖ドストライク。早くファントム出てこないかなあと思いながら見てしまいました。


でもね、でもどーーーしてもモヤモヤしちゃうんです。今日はそのモヤモヤについて書こうと思います。

 

ここで注意していただきたいのですが、ネタバレをもりもりするので、これから観劇される方は見ないでいただきたいなと思います。余計な先入観にもなってしまいますし。
フォロワーさんやこのブログの読者さんには、少年社中さんの舞台が好き!っていう方もたくさんいらっしゃると思います。そして、ピカレスクセブン、とてもよかった~~っていう人も。
そういう方は、ごめんなさい、今回は読まないでください。
ほら、自分が楽しいとか好きと思っているものでも、人の否定的な意見を見ると水を差されるような気持ちになること、あるじゃないですか。そういうふうに、思ってほしくないので。

 

ということで、ここからぶっちゃけたお話をいたします。

 

 

 


一番嫌だったことは女性の描き方

一言で言うと、マクベスとジャックの関係性が不快でした。とっても不愉快。理解できなかったししたくなかった。ここがひっかかってしまったから、最後までピカレスクセブンの世界観に没入して時を過ごせなかったし、終わった後も手放しで良かったと言えませんでした。
実はわたし、これまでは少年社中さんの作品や脚本・演出の毛利さんのこと、結構好きで信頼していたのですよね。(モマは合わなかったけど。)だからこそ、なんとか良い方向に受け取ろうと無意識にしていて、最初は「ちょっと違和感」くらいだったんですが、考えれば考えるほど、ああやっぱ嫌だなあと思ってしまいました。

 

まず、マクベスの言葉が、不愉快きわまりないんですよね。
最初、ジャックちゃんと会ったとき「女」と呼びます。ジャックちゃんという個を認めてませんね。もうここからね、嫌な予感がしたんですよ。そして、
「おまえ、男を知らないのか?」
「俺がお前を女にしてやる」
「おまえも裸になれば(娼婦と)同じ」
「なぜ女であることを拒む」
というクソ発言のオンパレード。
「女はすべて男とセックスしたがっている」「裸になればみんな男のおちんちんに平伏するものだ」「男とセックスしたがらない女なんていないはず」っていう思考が透けてみえる発言ですね。とっても不愉快。

 

そんな発言をしちゃうマクベスは、男として育てられ、「薄汚い女どもへの罰だ」と言って娼婦を殺しまくったジャックちゃんに対して、ドレスを着ているからという理由で、本性は「女」で、心の底では「女」であることを望んでいるという解釈をしています。だからいやがるジャックちゃんをレイプして、でもそれはジャックちゃんの望んでいたことだと言います。さらに「お前は女だ。だが薄汚くはない。お前は美しい」なんてことを言う。ああなんて不愉快なの。
わたしは女ですし女の格好をすることも好きですが、女の子とのセックスが好きです。そんな人を誤って(?)犯してしまったとしたら大変な悲劇ですね。そしてわたしという個人がバイセクシャルだということが少数派だという理由で度外視するとしても(個人的にはそういう考え方は大嫌いですが…)、女性が着飾ることは別に男に愛されたいからだけではありません。自分のために着飾ってるの。女の格好してたらみんな男に抱かれたがってると思ったら大間違いですから。

 

…まあ、不愉快ですが、ここまでは百万歩譲って許すとしましょう。だって「極悪人」設定ですから。レイプくらい屁でもないくらいの意識かもしれません。マクベスの生きてきた時代を考えても、女性に対する認識がそんなもんでも、ままあることでしょう。

 

でもね、驚くべきことに、ジャックちゃんはなぜかそんなマクベスを愛してしまうのです。最終的には、ジャックちゃんはマクベスの孤独を終わらせたいという理由で敵側に回ってジャックを殺そうとし(それが実際にマクベスの望みだった)、「地獄で待ってる」と言って死んでいきます。

男の理想を具現化したような女性像ですよね。無理矢理犯しても、最終的には愛してくれて、だれよりも自分のことを理解してくれる女。
ストーリー上は、ジャックは女性である自分を抑圧していて、だからこそ、マクベスとの関わりを通して抑圧された自分を解放していくっていうストーリーになっています。つじつまは合います。マクベスは誰も気付いてくれなかった本当の望みを叶えてくれたひと、という見方もできなくはない。
でも、レイプされてるんだよ?しかもめちゃくちゃいやがってたんだよ?マクベスは「快楽を感じてどう思った」的な事言ってますが、快楽感じられる????身体の防御反応でそういうことがあるかもしれないけど、だからといってそれで許しちゃうの?????って思います。
だからジャックちゃんの行動原理が最後までぴんとこなくて、全く感情移入できませんでした。
そしてこういう都合のいい女的なキャラクターとそれを犯した男との恋愛関係がなんか「美しい話」っぽく描かれるのがとっても嫌で、残念でした。

 

なんだかんだ、架空のお話だといっても、そのお話を作る人のものの見方や、考え方って反映されるものだと思うんです。そして、その人のものの見方や考え方に基づいて作られた世界が好きで、そこに浸りたいから、その演劇作品を見るんです。わたしは脚本家・演出家を見て演劇作品を選ぶ人間なので。
だから、毛利さんって普段女性のことこんな風に思ってるんだなあって思ってしまって。「女は結局のところ男に抱かれて、愛に生きることが幸せなんだろ」って。「女である自分を抑圧して生きること(=男に愛されないことや男とセックスできないこと)は不幸」だと思ってるんでしょって。
自覚的にはそう思っていないとしたって、そういう考え方が透けて見えてしまう世界に浸ることはわたしにとって不愉快なので、2回目を見たいとはまったく思いませんでした。
わたしはフェミニズムに救われてきた人間です。「男に選ばれない女は価値がない」とか「男に惹かれない女は普通じゃない」とか。そういう呪いから解き放ってくれたから。だからこそ、人の心を描く職業の人が、そういう「一般的な価値観」に苦しめられている人がいるってことに無自覚でいられるって、おめでたいなと思うし、「もうそんな人の描く物は見たくない」って思ってしまいます。これまでの少年社中さんの作品を見て、毛利さんの脚本好きだな~って思っていたからこそ、残念でなりません。


話の粗

さて、話は変わって、ストーリーについても、本音で言うと粗の目立つ話だなあと思いました。そして、人数が無駄に多くてわかりにくいな、と思いました。内容が良かったからではなく、わからなかったところを確認したかったから台本を買いました。
たとえば、そうりだいじんの存在一つとってもそうで。江戸時代に、自衛隊引き連れた総理大臣が来たら、どんなに個々のスキルが優れていたって、一瞬で敵陣を壊滅させられますよね。でも、そうりだいじんはとくに重要人物扱いもされておらず。イエミツ陣営もそんなに人死にが出ないっておかしいと思う…。
主人公のイエミツ本人の成長物語として見れば見られなくもないかな?と思ったりもしたのですが、後から語られるイエミツの思想としては「みんなを笑顔にしたい」であるのに反して、最初のシーンで、最初にイエヤスを呼び出して江戸が火の海になっても悲壮感がとっても薄かったのを思い出して、頭を抱えました。イエヤスが来て大変なことになっちゃったから、対抗できる悪人を呼び出して戦おう、オー!くらいのノリなのですよね。なんかへらへらしてるし。本当に「みんなを笑顔にしたい」と思ってる人がへらへらできる状況じゃないって……。
あとピピの存在もよくわからないですよね。ピピによる黄泉がえりの仕組みは考え出すとあれこれ「こういう場合はどうなんだろう?」っていう突っ込みどころが出てきて面倒くさいので考えるのをやめました。

 

というわけで、思想的に嫌いだ、と思う場面もありつつ、お話としても粗が大きかったことが理由で、わたしはピカレスクセブンをいいと思いませんでした。なんだか、昔好きだったものがそうじゃなくなることって悲しいなぁと思いました。

 

ではまた!

2018年の抱負など

本気になる

f:id:ao-re:20180108113906j:image

あけましておめでとうございます。2018年の目標は、ただひとつ。「本気になれたな」と思える状態で一年を終えることです。
でも「本気」って、難しい。上限がない。自分が本気だと思ってても人から「あんたの本気ってそんなもんなの?」と言われることもあります。毎日毎日同じテンションでものごとに向かえるわけでもありません。
わたしの「本気」の定義は「自分で決めたことはやりきること」。だから「やると決めること」は厳選するし注意深く予定も立てる。できなかった場合のリカバリ策も、サポートしてくれるものや人や場所の力も考慮したいと思っています。

 

本気になりたいと思ったきっかけ

きっかけは、いくつかあるのですが、昨年観劇した「星屑バンプ」。劇中の台詞「本気でやってみろ。死なないから」が刺さり過ぎてしまって、9月に観劇してからずっとその言葉が頭の中をぐるぐるしていることが一番大きいです。

わたしは器用貧乏で多くのことは平均以上にできてきたほうだと思うのですが、一方で一芸に秀でるということはなかったし、夢中になってやりきれた経験も少ないんです。快楽に流され過ぎてしまう。そういう自分の傾向がわかっていたので、自ら厳しい環境に身を置いて本気にならざるを得ない状況にする、ということはこれまでやってきました。
でも、自分で自分をコントロールすることは、あまり得意でないままここまできてしまいました。
観劇やアイドルの応援を趣味にしていると、本当に一芸(多芸の場合もある)を磨き続けている方がきらっきら輝いているのを、月に何度も目にすることになるわけですよ。その努力が、ダイレクトに伝わってきてしまう。もう、羨ましくて。妬ましくて。こんなことを、芸能をお仕事にしている人に対して感じるのはおかしいかもしれませんが…。
昨年は日常生活の中でも、「この人はちゃんと自分が夢中になれることを見つけて大事にしていて、それを職業にまで結びつけていて羨ましい」っていうふうに思う機会がとても多かったんです。
そんな状況だったので、「死ぬ気でやってみろ。死なないから」が刺さってしまったのです。わたしは死ぬ気でなにかをやってみたことってあるだろうか、そうできたらいいのに、って本当に強く思いました。
だから、せっかくちゃんと学びたい分野にも出会えたことだし、今年は勉強に本気出してみることにしようと思っています。これまで後から振り返って「本気になれたな」と思えた時って例外なくそれをやっている時間が好きだなと思えて、夢中になれる時でした。でもそれでも、やり始める前までは億劫に思えることもあるので、やるべきことを週単位で決めて、まずはやり始めてしまうことが大事かなと思っています。やり始めてしまったら楽しくなることも多いですから。

 

 

優先順位を決める

「本気でやれたな」と思えるために、優先順位をつけて日々を過ごしていくようにしたいと思っています。
まず一番は資格を取るための勉強を最優先させます。資格の勉強期間が終わったらいくらでも遊んでいいから、それまでは最優先。
次に、運動。勉強してても体力と筋力をつけたいし、勉強をコンスタントにやっていく上で気分転換にもなるので運動は時々していきたい。
そして、ブログも含めた文章を書くこと。これは、優先順位を落としても諦めたくない。なので、時間は短く密度を濃くやっていきたい。文章の書き方や内容も変えていくつもり。観劇感想を中心に書いてきましたが、記録や感想記事は本数か分量を減らすかも。まだ方向性が決まっていないのですが、好きなブログの研究をしながら違う書き方にトライしてみたい気持ちがあります。
仕事以外の生活の中の割合でいうと、7対2対1とか、6対2対2くらいの割合を目指したい。

 

観劇は、優先順位を落とすつもりです。昨年は親切なフォロワーさんが観劇に誘ってくださったり、DVDを貸してくださったり、ごはんに誘ってくださったりしていたのですが、今年はちょっと付き合いが悪くなるかもしれません。ごめんなさい。いつも親切にしてくださって、そして、「一生に一度だよ!」と背中を押してくださって、本当に本当にありがとうございます。変わらず仲良くしたい気持ちはあるので、今年もよろしくお願いします!

 

今日はここまで。こんなこと言っておいて一年後にやっぱり本気になれなかったなあなんて思うのは恥ずかしいので、本当に頑張ります。ちなみに、昨年のはじめにやりたいこととして書いていた昔のブログを統合するといういやつは、早々に諦めました。文章がつたな過ぎて、全部書き直さないことには載せられないという状況でした…。コツコツやれば文章力というのも成長するものですね…。

 

ではまた!

THE CIRCUS!-EPISODE1 The Core-の悪役三人組に偏った感想

久々に推しを見に行ってきました。

f:id:ao-re:20171014232938j:image

ひっさしぶりの一推しの舞台に行ってきました。
このブログではしばらくザ・コンボイとモーニング娘。の話しかしておりませんでしたが、わたしの若手俳優における一推しは植原卓也さんなのです。
その、一推し植原さんが準主役級の役をやり、その上最近お熱のザ・コンボイのサムさんと、TAROという作品で見かけて気になっていた岡崎大樹さんも出るとなったら、期待しないわけにはいきません!
しかしながら、正直言ってTHE CIRCUS!のEPISODE0は凄く好き!ってわけでもなかったので、なるべく期待値を下げて冷静に見ようと努めていたのです。正統的なヒーローものでお話がちょっと大味なのと、殺陣をダンスで表現するところが苦手で…。(殺陣は殺陣でしっかりやってほしい派)
でも、今回は前作よりも楽しんで見られました。
そして終わった直後にTwitterで叫びました。

たっくん最高すぎかよお…やっぱり一推しは一推しだよお…と思いました。見にいって良かった。

 

では、ネタバレ感想行きます!
ほとんど悪役三人の感想に偏りますのでご了承ください。

 

セットやお衣装の良さ(金の掛かってる舞台っていいな…)

劇場に入るとすぐ、前回に引き続き、アメコミ風味の絵が舞台を縁取りしているセットがお出迎え。あれ、すごい好きです。かわいい。そして今回は舞台のど真ん中に、星が光っている感じのセットがバーンっておかれていて、場面によって色が変わったりするんです!それもとっても可愛かったなあ!最後の方のシーンの、背景に大きな時計が出てくるセットも素敵でした。
衣装もみんな凄く良かったです。
ミラージュの面々はヒーロースーツっぽい黒基調で各人の担当色や星の入った衣装。
バーで働いているお姉ちゃんたちとナディアはえっちな感じのてろてろ衣装。ナディアちゃん髪の毛の先っぽが色違うのかわいい。
ロマンさんのスーツはお育ちの良さと彼の手脚の長さを強調する素敵さ。
そして悪役三人の衣装は、とにかく最高!!!
スワン役の植原さんは膝くらいまでの中華服っぽいデザインの詰め襟衣装。あの服、植原さんのスタイルの良さを引き立てますよね!!踊るときに裾が翻るのもポイント高い!その後白一色の丈の長い詰め襟衣装になり、最終的には赤スーツに。さいっこう!!だいすき!!!クロウを演じる岡崎さんは黒一色でひらひらした布がいっぱいついてるスタイリッシュ衣装で、時々裾のひらひらを、ひらっとさせてくれるの!!スタイリッシュ!!!
サムさんは紫とか青とかが混じり合ったなんだかよくわかんない色合いのトリッキーなスーツ姿。そして杖。もうほんと、イケオジ!!!髪の毛片側だけ下ろしてるのも最高に素敵!!!サムさん大好き!!!
ていうかスワン(白鳥)が白衣装で、クロウ(カラス)が黒衣装で、それをイケオジサムさんが従えてる図って最高オブ最高じゃないですか。誰だこんな素敵設定を考えたのは。岡崎さんなんてパンフで申し訳程度に「クロウ」って役名書かれてたけれどもアンサンブルの皆さんと同じページでしたよね。後から考えた設定だったりするのでは?とにかくこの三人を創り出してくれた脚本演出の方、本当にありがとうございます。とにかくこの三人が大好きでした。

 

 

わるもの三人組

で、引き続き悪役三人の話を続けます。
もうこの三人がいたからこそ今回のEPISODE1が気に入ったと言っても過言ではありません。
悪役が良くないと正義の味方も輝きませんものね!
少しだけストーリーの話と絡めてこの悪役3人の紹介をします。

サムさんが演じるボリスはドラコニアという国を牛耳る悪の親玉で、世界を支配下に置くことを夢見る危険人物。「コア」という隕石の力で特別な力を得てドラコニアを支配しています。この人にもともと仕えていたクロウは階級が親衛隊中佐、新参者ながらボリスの信頼を得ているのが前作も登場したスワンで、階級は少佐。

ボリスが、天才科学者であり王族の血を引くロマンくんを監禁してものすごい兵器を作り上げたりその妹のナディアちゃんが民衆に大人気のシンガーなのをいいことに利用したり、まあ悪いことをしまくっており、監禁されているロマンくんを救出するのがミラージュの6人の今回の任務、というストーリーでした。もうこの悪役三人組が好きすぎるので、このブログでは一人一人について語らせてください。

 

クロウ

まずはクロウさん。クロウはほんとにほんとに可愛くて。いちいちスワンに俺の方が先輩だからな的なこと言って「中佐殿」と呼ばせたがるのも、スワンが「中佐殿」じゃなくて「クロウ」と呼んでもついつい返事しちゃうのも、スワンが「中佐殿」ってたまに呼ぶとものっすごいドヤ顔するのもほんと可愛い。ボリスに褒められるとガッツポーズしちゃうのも可愛い。戦うとき弱そうなのに動きばっかり派手でナルシストっぽくていっつも「はっはっは」って言ってるのも可愛い。動きも常にちょっとコミカルで面白いしさー。トートダンサーをやられているだけあって、動きが大仰で美しいのに、あの世界観の中でそれをやるとなんか面白いんだよなぁ。岡崎さんの他の舞台もっと観たい。

 

スワン

そんなクロウと対みたいになっていたスワンさん。相変わらずのクールビューティ。腕組みして壁際で立ってるだけで絵になるいい男。

スワンさんはナイフ使いっていうところが大変萌えますよね。対ケント戦でナイフを使ってるシーンが一番きゅんときました。あ、ボリスにちょっと仕掛けてみるところもかっこよかった!

彼の見せ場といえば、二幕はじまった直後にアンサンブルさん引き連れてオンステージで歌い踊るシーン。ここはさいっこうにかっこよかったです!なんだかたっくん、歌い方もミュージカルっぽく、上手くなっていた気がします。彼は元々声が高くて歌う人として「良い声」とはいえない声質のように思うので、ミュージカル畑で生きて行きたいのだろうけれどもしかしたら声や歌がハンデになるのではと少し心配していたのです。ですが、キューティブロンドを経て自分らしい歌い方を見つけたのかなあ。今回は本当に良かったです。安心して聞いていられました。
そういえばスワンさん、パンフレットでネタバレされていたのであんまり驚きませんでしたが(もうパンフ作った人配慮してほしい。楽しみが減る。ボリスが精神的におかしくなっていくのもネタバレされてたし。)、悪役と見せかけてスパイでしたね。最後の方でスパイをばらした後困惑するミラージュのみんなに「説明はあと!」とか「(なかなかついてこないケントたちに、もうしょうがないなあって感じで)行くよ!」とか「(無事だったナディアとロマンとミラージュの皆さんに対してほっとしたフリで)良かった」とかやってるの可愛かったー。演技としても前回より毒気抜けてる感じでしたねー。

 


ボリス

ボリスもすごいいい悪役だったなぁ。登場シーンの悪そうな歌声と、ダンスと、それにスワンさんが静かに付き従っている様を見ただけで「来て良かった…」と思いました。やっぱすごいやサムさん。悪役で輝く男です。あの青とか紫とかがまだらになったよくわからない色の衣装で黄色いライトに照らされたソファに座ってるシーンが多かったのですが、すんごくすんごく良かった。あんなドぎつい色の組み合わせに馴染んで、かつ、かっこよく見えるの、サムさんだけだと思います。
コアに当てられて発狂した後の演技も良かったなあ。ナディアが自分をかばって倒れたお兄ちゃんに縋って慟哭している逆側で、頭おかしくなっちゃったサムさんが「虫…虫……」って言いながらゆらゆらしているところはぞっとしました。
悪の親玉的な役割だったので周りに踊らせて自分はあまり踊りませんでしたね。それだけが残念ポイント!踊ってる時はやっぱり素敵で、色気たっぷりで、もっと見たかったなぁと思ってしまいました。めちゃめちゃ踊るサムさんはやっぱりコンボイショウでしか見られないのか…。

 

ふう。とりあえず大好きな三人組についての感想はこのくらいかしら。三人の関係性とか普段どういう会話してるのかとか想像するだけで楽しくてニヤニヤしてしまいます。はぁ〜たっくんと岡崎さん、ザ・コンボイのオーディション受けてくれたりしないだろうか〜。好き〜。

 

今後の展開

今回、「コア」というなんだか重要そうな概念が出てきて、なんとかボリスは倒せたもののコアにあてられたケントがベッドに横たわるシーンで幕引きになりましたね。ケントどうなっちゃうんだろう。そしてスワンの仕えてるらしきサーシャってどんな人でどんな思惑を持っているんだろう。
まだまだ、お話も序章っていう感じなのでここからが楽しみです。

なんだかTHE CIRCUS!はアンサンブルさんも含めてスキル高くて個性あふれる役者さんしか出てないのが見ててストレスたまらなくてとても良いですよね!これから年一回の楽しみになっていきそう。平方さん大好きなのでまた出てきてほしいな…。

 

ではまた!

 

(あんまり大したこと書いてない前作感想はこちらです。良かったらどうぞ↓)

星屑バンプとごく個人的な経験の区切り(「死ぬ気でやってみろ、死なないから」)について

f:id:ao-re:20170921130212j:image

先週三回観劇してからザ・コンボイショウ星屑バンプのことをずっと考え続けています。星屑バンプ関連のブログも増殖する一方(笑)単純に笑ってキャーキャー言って一緒になって拍手して楽しめる中毒性と、考えさせられるストーリーのあいまった舞台で、本当にすごいなと思います。

 

過去ブログ↓

 

今日はどうしても書きたかった、劇中の台詞、「死ぬ気でやってみろ。絶対死なないから」について書きます。

 

星屑バンプの中で特に印象的だった台詞のひとつが、黒須さんが独白シーンでおっしゃっていた、「死ぬ気でやってみろ。死なないから」という台詞です。
客席へのメッセージでもありつつ、コンボイの若手メンバーへのメッセージでもあるのかな、なんて思いながら見ていましたが、その言い方や雰囲気がとてもいいんですよね…。黒須さんが包み込むような微笑みを浮かべながら、ちょっとこちらに身を乗り出しながら、そう言ってくれるんです。

 

この台詞が心に残るのは、多分そのセリフを書いたねずみさんも、それの台詞を語る黒須さんも、「死ぬ気でやった」経験があるからだと思うんです。コンボイのオリジナルメンバーの皆さんのパフォーマンスにはその説得力があります。一度は死ぬ気でやった経験があって、そして今も努力を続けられているから、50代になっても若者に引けを取らないパフォーマンスを続けていられる。ましてや、ダンスという体力を要する、加齢が大きなマイナス要素になるジャンルで。すごいですよね、本当に。コンボイショウを見るたび毎回感嘆します。

 

その説得力ある言葉には、勇気づけられもしますし、一方で、不安や怖さも感じるんです。

もしわたしが、「死ぬ気で頑張る」こともできないような、ダメな人間だったら?

そんなことを思ってしまいます。

 

かつて、わたしには全く同じ台詞を言ってくれる上司がいました。怖がりで最初の一歩をなかなか踏み出せないわたしに、その上司はいつも言ってくれました。「大丈夫大丈夫。死なないから」って。

彼は、その更に前の上司みたいに、わたしのことを駄目扱いせず、信じてくれていて、いつも見てくれていた、今でも尊敬している人です。

でも彼は畏怖の対象でもあります。あまりにすごすぎるんです。信じてくれてはいるけれど、わたしが、わたしなんかが、そのレベルに到達するのは無理って思ってしまうくらいの凄いひとでした。

だから、怖い。尊敬する人に、大丈夫だよって促されても、「死ぬ気でやれない」駄目な人間かもしれない。基準に達することができないかもしれない。期待をかけられてもなにひとつ返せないかも。そんなふうに思ってしまっていました。

あまりにすごい人だけれど、その上司もかつてはわたしに似たタイプの営業マンだったといいます。基本的に人よりモノやコトに興味があるタイプで、ひとつの会社とどっぷり関わる方が好きで、一般的なイケイケ営業マンみたいに、数をこなせないタイプ。それでも彼は彼のやり方で、売り上げをあげてきたから、誰からも「すごい」と思われるような今がある。

頭ではわかります。わたしもいつかそんなふうになれるかも。その上司だって、昔は新人だった。

でも心では決してそう思えなくて、プレッシャーで押しつぶされそうでした。

 

結局、わたしはその上司の下から離れました。決定的にわたしとその上司の正義が違っていたことと、わたしが彼の思う正しいあり方に添えなくて、何度も何度も反省文を書き直しさせられて、それでも理解することができなかったことが原因でした。結果的に死にたい、わたしはなんて駄目なんだろう、もう無理、って思ってしまって、退職する決断をしました。

退職する時に色紙をもらったのですが、その上司のコメントには「追い詰めてごめん」と書かれていました。そのことを思い出す時、ひとことではとても言えない、複雑な感情にかられます。きっと彼も悪気があったのではなかった。そう信じたい。

でもだとしたら。わたしが単に弱かっただけなのかな?わたしはもっともらしい理由をつけたけれど、やっぱり逃げ出したんだろうか?

極力考えないように、心と体の回復を優先してきましたが、今でも、喉に魚の小骨がひっかかっているかのように、このときの出来事と感情がずっと頭の片隅にひっかかっています。

 

星屑バンプの全体的なメッセージのひとつとして、長年第一線で戦ってきたオリジナルメンバーから、世の若者たちに向けて、「俺たちだって同じ道を通ってきた」「俺たちだって、この歳になっても、今も君たちと同じように挑戦し続けている。一緒にやっていこうよ」というメッセージがあるように感じています。

わたしが、あの頃、尊敬する上司から託されて、受け止めきれなかった同じ思いを、また形を変えて託されているような、そんな気持ちになります。

このメッセージって、きっとねずみさんが普段からコンボイの若手メンバーに対して考えていることと重なるところもあるんじゃないでしょうか。(勝手な推測ですが。)

そして、 若手メンバー四人のインタビューを見て、わたしは勝手に、メンバーのうちのひとり、荒田至法くんに自分を重ね合わせてしまいました。


至法くんはこのカンパニーに属して初めての舞台、asiapanではかなりの厳しい指導に「向いてないかも」と思い、「手の震えが止まらない」というところまで追い詰められてしまったそうです。それでも、仲間に支えられてその時期を乗り切り、asiapanの舞台上で素晴らしい経験をし、いま、星屑バンプという作品では明らかにその輝きを増しています。前作では名前と顔がまだちゃんと認識できないくらいの感じだったのに、今や自然に至法くんを目で追ってしまいます。

頑張ったんだなぁ、と思います。頑張って、折れそうになっても続けてくれていて、本当に本当に良かった、本当にありがとう。あなたが続けていてくれたからこそ、こんなふうに何本もブログを書いてしまうような心に残る作品が出来上がったし、それはあなた以外の誰かが同じ役をやっていてもきっと駄目だった、と思います。
わたしも、「大丈夫、絶対死なないから」と勇気づけてくれる上司の下で続けていたら、至法くんのようになれたのでしょうか。とんでもない成長を遂げて、輝けていたのでしょうか。

 

あのとき、もちろんら上司のやり方の問題もあって(世間的にはパワハラと言われるレベルの指導でしたし、残業未払いの問題はどんなに理屈をつけたって納得できない問題でした)、会社を辞めたこと自体は後悔していませんが、それでも、わたしの中で、「逃げてしまった」「期待に応えられなかった」という思いが残って、いつまでも消化できていないのも事実で。

期待をかけてもらって、プレッシャーも感じるけれど、それ以上に「死ぬ気でやってみる」ことや、コンボイの皆さんのような、やり遂げたひとの輝きに、どうしようもなく憧れてしまうのも事実で。

 

仕事に対してだけではないと思っていますけれど、なにかのかたちで、「死ぬ気でやってみる」時間を過ごしてみたい。あらためて、そんな気持ちになっています。あのとき、やれなかったからこそ。

 

…ああ、なんだかやっと、一年半前に前職を辞めてからずっとわだかまっていた気持ちに少し区切りがつけられた気持ちです。本当に星屑バンプに出会えて良かった。

長い文章になってしまいましたがここまで読んでくださってありがとうございました。

ではまた!

星屑バンプの「だるまさん」の話

コンボイショウを見ると、不思議なもので自分の話をしたくなります。今日は「だるまさん」の話を。

(近日中に、「死ぬ気でやってみろ。死なないから」の話もしますね)

f:id:ao-re:20170919220618j:image

星屑バンプの中で、ねずみさんがのび太くん役として会場の子供達に向かって呼びかけるように「あの日あの時あのダルマ」の話をします。
ねずみさんのこのときの語り口がとっても優しくて、何度見てもなんだか切ない気持ちになるんですよね。

 

なつかしい物の中には、やさしかったおばあちゃんからもらったダルマさんが含まれていました。幼い時庭でころんで泣いていたばかりいたので、おばあちゃんからの「のびちゃん。ダルマさんはえらいね。なんべんころんでも、泣かないでおきるものね。のびちゃんも、ダルマさんみたいになってくれるとうれしいな。ころんでもころんでもひとりでおっきできる強い子になってくれると・・・、おばあちゃん、とっても安心なんだけどな」といった言葉を鮮明に思い出した。その頃、のび太はおばあちゃんに「ぼくダルマになる」とはっきりと約束しました。

ドラえもん Wikia | FANDOM powered by Wikia

 

実は三連休の前に、仕事でミスをしたことがわかったんです。お客さんがやさしかったのもあって大ごとにはなりませんでした。 でも、わたしはわりと完璧主義なので、たったひとつのミスでも、お客さんが許してくれても、自分の落ち度だという気がして、すぐに意気消沈してしまいました。その日はキツネさんとの旅行の前日だったのに、早く帰ってゆっくり楽しく準備することもできなくて、申し訳ない気持ちもありました。

今日そのお客さんに謝りに行って、決して怒られることはなかったけれど、なんだかいっぱいいっぱいな気持ちでぼんやりとお昼を食べていました。

そうしたら、星屑バンプの時のねずみさんの優しい声を思い出しました。ねずさんは、わたしの頭の中でやさしく、「のびちゃん」と語りかけてきました。

わたしはねずさんの語り口をひとつひとつ思い出しながら、のび太のおばあちゃんがのび太に願ったように、何度転んでも起き上がれる強い子になりたい、と思いました。
そして、そういえばこのブログも七転び八起きっていうタイトルだったなぁって、思い出しました。

 

このブログのタイトルは、前にも別のブログで書きましたが、アンジュルムというアイドルグループの七転び八起きという曲から取りました。推してるグループというわけではないんですが、この曲は本当に好きで。

 

 

こんなふうに七転び八起きという言葉に惹かれるのは、七転び八起きという言葉がわたしの人生そのもののように感じているからだと思うんです。

 

これまで、たくさん転んできました。

理系科目があらかた苦手だったのに理系の大学を目指して一浪するはめになりました。ノンケだって当時言っていた今の彼女に好き好き光線浴びせまくって一度はフラれたりもして。

その後せっかく理系の大学出たのに院にもいかず、文系就職することにしたのですが、氷河期の再来かと言われていた時期だったので、もう何社落ちたかわからないくらいのたくさんの会社に落ち続けました。

ようやく入れたベンチャー企業では繁忙期には終電まで仕事するような生活をして。三年もたずにその仕事を辞めて、入った次の会社では、やりたくてやり始めた仕事が合わず、更に、引き続きの長時間残業で更には残業代も支給されず、パワハラにもあい、精神的に危なくなった時期もありました。

そんなふうに何度も何度も、転び続けてきました。

 

同じ頃大学を卒業した何人かの友人たちは、専攻を生かした職業で大企業に入って、転職なんか一度もせず、これと決めた仕事でずっと頑張って、職場や大学で出会った人と結婚して、それなりに幸せそうにしているのに。(そんな順調そうに見える彼女らもきっとたくさんのつらさや葛藤を抱えているのだと思うんですけどね)

 

でも、派手に転び続けてきたのは、チャレンジしてきたからでもあると思っています。

大学の専攻とは全然違う仕事を選びましたが、この間就活中のノートをふと見てみたら、そのとき「こんな業界で働きたい。なぜならこんなことを考えてるから」と書いていた仕事と近い仕事に、いつのまにかつけていることに気づきました。

1社目2社目が大変な会社だったからこそ、3社目の今の会社では、わたしが一番営業力あるぞと言えるくらいに、実力がつきました。

フラれても好きでい続けたら、今の彼女がなぜか付き合ってくれることになって、今や10年近く一緒にいます。

 

七転び八起きして、起き上がれたからこそ、今があるんだなと思います。

 

なんだかそんなことを考えていたら…いいか、すぐに起き上がらなくても、と思いました。いいか、凹んでないふりしなくても。転んで、先がないような気持ちになったって、いつか起き上がればいい。これまでそうしてきたみたいに。肩の力を抜いて、ゆっくりゆっくり、起き上がればいいや。そんなふうに思えました。

 

星屑バンプを見ていてよかった。きっとこれからも、転んだり疲れたりしたときには、きっとねずみさんの優しい声を思い出すんだろうなぁと思います。

 

今日は以上です。

ではまた!

 

 

【観劇感想】星屑バンプ

星屑バンプ観てきたよ

9月8日、9日。THE CONVOY SHOW 星屑バンプを観てきました。

f:id:ao-re:20170911230814j:image

vol.33『星屑バンプ』 | THE CONVOY SHOW
あー楽しかった!
帰ってきてからずっと星屑バンプのこと何日も考えてしまうくらい楽しかったです。
それから、前のブログでも書いたのですが、お疲れ気味だった気持ちが随分と回復しました。

(前のブログ↓)

 

さて、では感想をつらつらと。ネタバレします。まっさらな気持ちで見た方がきっと楽しいと思うので、これから見に行くよ~という方は観劇後に読んでくださいね!

 

ストーリー

ストーリーは、50代のおじさんたちがやっている着ぐるみショーの楽屋にビッグバンジェッツというヒーローショーのレンジャーたちが乱入するところから始まります。
「誰か、この特注の仮面をかぶれる方はいませんか?」
こうして出会ってしまったおじさんたちと若者たちがダンスのコンテストに向かって進んでいくお話です。

 

もうこの序盤からたのしい。本当に本当に楽しい。
オープニングがめちゃめちゃカッコよくて、スーツびしっと着てサングラスしての、ターミネーターみたいな格好でキレッキレに踊る曲(みんな無表情なのに伊藤君だけたまにニヤッとしてたのがチャーミングだった)なのに、その後すぐファンシーなうさぎちゃんと牛とペンギンの着ぐるみ着たおっさんが出てくるというギャップも楽しいし、ビッグバンジェッツのみんなのやたらキレキレなヒーローっぽい動きも、「このお面をかぶれる方はいませんか?」の台詞のインパクトも、もうめーっちゃ、たのしい!
ビッグバンジェッツのみなさんの曲(?)でもヒーローっぽいダンスで、一人一人身軽に側転したりバク転したりアクロバティックな動きもしたりしてて、そこに一人だけはいっちゃったおじさんピンクはバク転やってるつもりでぴょんぴょんしてるのとか、作り込み度合いとコミカルさにニヤニヤが止まりませんでした!

 

将来が不安で焦る若者と、かつて若者だったおじさんたち。
良く世間で言われるような「今時の若者とおじさん」的なやりとりをしながらも、お互いを理解し合って絆を深めていくやりとりはほっこりします。
ふざけてばかりいるように見えるおじさんたちに苛立ちを見せる若者たちに対して、おじさんたちが「モニタリング」を仕掛けるシーンは若者たちの熱さや、ふざけているようでそれだけじゃない、おじさんたちの意図に泣かされてしまいました。
ああ、わたしにもこんな大人げなくて一生懸命で、でも、余裕もあって、微笑みながら、あったかい野次を飛ばしながら見守ってくれるような、上司がいたらいいのになあ、なんて思いながら見てしまいました。

 

星屑バンプの若者たちが羨ましくなシーンは他にもありました。
星を背景に、一人で、もしくは二人組で、独白するシーンがあるのですが、そこでの伊藤くんとねずみさんの会話がとても印象的でした。
「明日がこなければいいのにと思ったことがあった」という伊藤くんにねずみさんは、「そういうときはさ、夕陽のほうにずーっと歩いていったら」と優しく語りかけます。
でもその直後に、「でもさ、朝日ほうに歩いて行ったほうがいいよ。若いんだからさ」なんてことも言ってくれます。
すごく胸を打たれました。そして、焦がれました。いいなあって。
けっして無理強いしない、やさしいことば。ただそっと、つらい自分に寄り添ってくれる言葉。でも、そっと肩を押してくれもする言葉。
カウンセリングみたいだ、と思いました。こんなふうにそばにいてくれる人がいるのは本当にうらやましい。
でも、星屑バンプという作品にわたしたちも出会えたから、ねずみさんは隣にいてくれなくても、ねずみさんの紡いだ言葉がいつまでもこころに残って、わたしを励ましてくれるんだ、とも思いました。
コンボイカウンセリング。私にとっては何より効く回復薬です。


結局、みんなで出たコンテストがどうなったのか、おじさんたちと若者たちがどうなったのか、物語の中では示されません。
お話は「あなたという星屑の輝きだって、きっと誰かに届いてる」というメッセージをもってしめくくられます。
わたしも星屑のひとつなのかな。誰かがわたしの僅かな輝きを見ていてくれるのかな。届くのかな。そんなふうに思いました。
わたしは文章を書くことが好きだから余計にそう思うのかもしれません。届いてほしい。将来はこうなりたいとか、こんなんじゃだめだとか、いろんなことを思います。でも、まずは誰かに届くかもしれないことを信じて、今を一生懸命楽しんで生きることが大事なのかも。

 

演出、曲、その他もろもろの感想

さて、そんなストーリーを支える世界観をつくるあれやこれやを書きます。もう~書きたいことありすぎてこまっちゃう~。
もうね、コンボイは何回見ても思いますけど、ほんと、センスのかたまり!!!最高!!!
今回舞台セットは漫画っぽい、効果線とか☆とかがいろんなところに書かれたセット。背景も何種類かあるんですが、星がいっぱいつり下げられてたり、手書きみたいなお月様や街灯があったり、とにかくかわいい!この可愛らしさがラストシーンで明らかになる「星屑バンプという漫画」の伏線になってるのもすごい!
そのセットを背景にして、ほんとの最後のシーンでコンボイのおじさんメンバーたちがテーマ曲が流れる中でばって漫画っぽいポーズを決めてくるの、大好きです!!かんわいい~!
選曲もよかったなあ~。テーマ曲のインパクトがはんぱない。好き。めっちゃかっこいい。あとはシーンに合わせておしゃれな鬼太郎とかおしゃれなドラえもんとかの曲が流れるのも楽しかった。
曲についてはYouTubeでリストを作ってくれている方がいるのでぜひ「星屑バンプ」で検索を!!

ちなみに、今回、初見の時の感想のひとつは「ギャグが濃ゆい!」でした。だって、親父ギャグ要員のじゅりさんだけじゃなくって館さままで全力ギャグを連続でかましてくるんだもの~。濃ゆいよ~おなかいっぱいだよ~。
その上おっさんたちが着ぐるみ着たりドラえもんのキャラクターのコスプレしたりするんだよ!?もうひたすらに濃ゆい~。でもすき~。ねずみさんが、のび太役のときだけかと思ったら衣装替えしてもずっとイチゴのワッペン服につけてるのとか、くろすさんがジャイアンから衣装替えしてもずっと太いボーダーのお洋服着てるところとか、もう大好き。
館様のブルゾンちえみも凄い好きでした。表情とか言い方とかまじブルゾン。ブルゾンより更に本物っぽい。引き連れてるwith Bたちもさいこうだった~。伊藤くんと至宝くんだったのだけどふたりともいいからだしてるからタンクトップが似合う似合う。至宝くんシャツの脱ぎ方めっちゃセクシーだし。もう何度でも見たい。なんでDVD化してくれないんですか!!ぷんすか!!

 

パフォーマンスの感想

そして、「コンボイと言えば」のダンスや歌やタップや…のパフォーマンス全般のこと。


ねえ!!!若手2回目参戦の子たちが!!!みんなうまくなってないですか!!?!?若者の吸収度と成長度、おそろしい!!!さすが!!
特に今回、至法くんと礼生くんの伸びっぷりがすごいなと思いました。至法くんはあの長い手脚を上手く使いつつ、わんこみたいな魅力を存分に生かしたやんちゃな感じのダンス。ついつい見ちゃうんですよね、あまりにも可愛くて!
礼生くんは前から自分の見せ方をよくわかってる子だなと思っていたのですが、もう魅力爆発でした。にっこーって愛らしい笑みを見せたかと思えば、あの白い首元を見せつけながらセクシーな表情でつんとしてみたり。ラップバトルシーンやガッツだぜを歌うシーンではオラついてる雄みの強い彼が見られたり。翻弄されっぱなしでした。
佐久間くんは安定の踊りの美しさ。スパイダーマンの曲の時は顔が隠れてるのに彼の踊りだってわかりました!ぬめるような動きが本当に素敵。あと演技してるときの落ち着き感。彼にしか出せない味ですよね。あの落ち着き感で、わんこでやんちゃな至法君に乗っかられたりすれば普通の若者らしくわちゃわちゃする、あの感じ。たまらない。なんとも可愛い。
みんなコンボイショウ2回目参戦で、いい意味で慣れてきたのかなあ。凄く今回は、ひとりひとりが「自分を出せてる」という感じがしました。
今回初参戦の伊藤君もよかったです。凄い表現力のある方だなあと思いました。至法君がぐしゃぐしゃに丸めて踏みつぶしたコンテストのチラシを拾い上げる前にダンスで感情を表現されるじゃないですか。あのシーンで、なぜか、拾い上げた、ぐしゃぐしゃに丸まったチラシが、心臓に見えたんですよね。血の滴る、弱々しく脈打つ、心臓。そんなふうに見せてしまう彼の表現力の凄さに、驚きました。

 

曲で言うと今回はスパイダーマンの曲の時と、ウルフルズのガッツだぜが物凄く好きです。ウルフルズのガッツだぜの時は、スタンドマイクで歌うのですが、一人ワンフレーズずつ、前に出てきて歌うのですよね。一人一人全然違う魅力を見せつけてきて、もう大好き~全員好き~!!となりました。
至法くんは「大和撫子」とか「男も女も盛り上がってGo」とか、「女」的な歌詞の時に前の方の列に座る女性陣をじっと見つめてくるんですよ~もうどきどきしちゃう~すき~。
礼生くんがこの曲のときオラついてると書きましたけど、歌割りが「モテたいハメたいナンパされたい」のところなんですよね。あのかんわいくて女の子より色白な礼生くんが!!こんな歌詞を!!でもこの歌詞のところの礼生くんは男の魅力満載な感じで、もうもう、たまりませんでした。

 

あとは、コンボイのオリジナルメンバーだと一番好きなじゅりさん(瀬下さん)のことを。もうね、じゅりさんが踊ってるとなぜだかきゅんきゅんしちゃうのです。あれ、じゅりさん周りの人と比べてワンテンポ遅くないか…とか、腕全然上がってないやん…とか、いちばん息荒いやん…とか、演劇パートだとほんとただのおっさんやん…とか、おもうんですけどね…。でもなぜだか彼が踊ったり歌ったりしているときゅーんとしてしまって、もうずっと目で追ってしまいます。
とくにRather Beという曲の冒頭でじゅりさんが月明かりくらいの薄闇の舞台上に出てきて一人で踊るシーンがたまらなく好きです。

なんともいえないじんわりした情感が感じられるんですよねえ。そして、勝手な気持ちですけど、なんだか、この人、踊ることが好きなんだろうなあと思わされるんです。
そして、1960の頃から「じゅりさんはハンドマイクを持つと輝く」と言っていましたが、今回は「スタンドマイクのじゅりさんも素敵」ってなってしまいました。ハンドマイクやらスタンドマイクの時、ひと一倍フリが大きいんですよね。その派手っちさが好き。
8日に見たときはやたらめったら髪の毛を掻き上げてて、その仕草も好きだったなあー。

 

そのほか、一列になって移動するダンスがすごい可愛かったり、テーマ曲の時はもうとにかくキメキメでキレキレでめっちゃかっこよかったり、タップ曲もとにかく明るくて楽しかったり。ショウタイムでは常にニッコニコしながら夢中になって手拍子してしまいました。

 

そんなこんなで。めちゃ長になってしまったのでそろそろ締めます。


星屑バンプ、楽しかったです!!とても!!
元気と前に進む勇気をもらえました。23日が最後の観劇です。楽しみだなあ~。

こころを柔らかくする

こころのつかれが可視化できたらいいのに。体温計で体温が図れるみたいに。でもこころのつかれは目に見えなくて、人と接するときはとくに、無理してなんでもないように楽しそうに振舞ってしまうから、自分自身でもよくわからなくなったりする。

 

このところ、仕事と仕事のための勉強に脳の七割くらいの容量を取られていて、のこり三割くらいは不安が占めていて、なにがあったわけでなくてもつらかった。


仕事はやりがいを感じているはずだった。
1年半前苦しんでいた頃のように残業が物凄く多いわけでもないし。
勉強も。好きな分野を学んでいるはずで。

 

ぜいたくだ、とか、なんて弱っちいんだ、って自分に対して思っていた。
やりがいを感じること、好きなはずのこと、楽しいはずのことばっかりやっているはずなのに、苦しいだなんて。
長時間残業しているわけでもないのに、仕事して疲れすぎて動けないだなんて。

 

だんだん、これまで楽しかったことが楽しくなくなってきていた。文章を書くことも、舞台も、本を読むことも、手帳に向かい合うことも。
感情がどんどんすり減って、ゼロとイチしかないコンピューターの世界に生きているような気持ちになっていた。
好きな人が出ているはずの舞台や好きな劇団の舞台を見てもぜんぜん楽しめなくって。
ああ、このまま離れてしまうのかなあ、それならもういっそ、全部やめてしまえたら楽になるのになあ、なんて思ったりもした。

 

そこを、ちょっとSNSで弱音吐いて励まされたりして、たくさん寝て、恋人にくっついて甘えて、時間を気にせずにだらだらして、洗濯して、布団干して、安心安定のクオリティとわかっている百戦錬磨のおじさんたちと一生懸命なわかものたちが作り出す舞台にどっぷりとひたって。そうやってすこしずつ回復してきている気がする。

 

今日またその、安心安定のクオリティの舞台を見に行った。THE CONVOY SHOW 星屑バンプという舞台。

f:id:ao-re:20170909215432j:image 

予感はあったんだ。去年出会ったばかりのCONVOY。でもきっと、観たらなんとかなる。そんなふうに、待ち望んでいた。

 

昨日、1回目、昨日観た時は、可愛いとか素敵とか最高とか、そういうのはたくさん思ったけど、お話の中身があんまり入ってこなくて。でも、元気はもらって帰ってきた。
これは、もう今、ぜったいに観た方がいいものだって思ったら、どうしても、どうしても、もういっかい見たくて、チケットを譲ってもらってひとりきりで行った。

 

観ながら、こころに栄養を与えているような気になった。
こころがボールのようなものだとしたら、数日前のわたしのこころはちょっとよれっとしていて、表面が乾いて、かたく小さく歪んでいたと思う。
そんなこころの埃を払って、いったん洗って、化粧水をたくさん振りかけてだいじにだいじに水分をしみこませて、次にクリームを表面に薄く塗って、最後にワセリンをちょっと厚めに塗って、ていねいに、なんどもなんども撫でながら、やわらかくまあるいかたちに戻るように手入れしていくような感じがした。

 

ほんとに、見に行ってよかった。
コンボイの皆さんに、出会えていてよかった。
なんでこんなに元気が出るのかぜんぜんわからない。
でもあのあまりにも研ぎ澄まされた肉体で、とても丁寧に踊ったり歌ったりする彼らを観ると、知らず知らずのうちに笑顔になっているんだ。
にっこにっこしながら夢中で手拍子してしまうんだ。
きっと彼らはずっととにかく一生懸命で、たぶん表現することが好きで仕方ないんだろうと思う。
お客さんを楽しませようとする意思、作品のメッセージを伝えようとする意思、それがまっすぐに伝わってくる。
ひとりひとり個性が本当にばらばらなのにその意思だけは純粋でひとつなんだ。
(なんて、勝手な妄想だけど。)

 

ほんとうにありがとうございます。
あなたたちが表現してくださるから山あり谷ありな日常でも、やわらかなこころを取り戻して生きていける。


はあ。わたしもたまには、携帯を切って星空でも眺めてみようかな。

 

ちゃんとした感想はまた別途書きます。
ではまた!

 

(1回目に観た直後のミーハー感想↓)

 

【観劇感想】グランギニョル(TRUMPシリーズ)

グランギニョル観劇感想

また凄いものを見てしまった。
実はTRUMPシリーズ、私が舞台沼にドボンしたきっかけの作品なんですよね。最初に自分でチケット買って舞台見たのは忍ミュだったのですが、それ以外の作品をガンガン見に行くようになったのはDステTRUMP以後で。(しかも何故かMARBLE公演…)
なので、すごく思い入れのあるシリーズですが、いろんな作品を見るようになった今、改めてグランギニョルを見て、やっぱりこの世界観と、生と死、憎しみと愛の交錯する濃密な物語が好きだなあと思ったのでした。


なんだか受け止めきれなくて、そして、好き!!!という気持ちだけがほとばしりすぎて、小一時間試行錯誤しているのですが、うまくブログが書けそうにありません。
人物関係の考察や一人一人に対する感想などはいいブログが今後たくさんでてくると思いますので、ネタバレありになると思いますが、つらつらと感想を述べていきます。

 

 

 

愛の物語

見終わってすぐ、愛の物語だなあ、と思いました。たぶんきっとシリーズの中のどの作品よりも。

「負けるな、負けるな、負けるな」…最後のシーンでダリがウルを咬んで言った「呪い」であり「愛」でもある言葉の強さが、鮮やかに心に焼き付いて頭から離れません。

今作の主役、ダリ・デリコ卿は吸血種の社会において貴族中の貴族。貴族と言えば特権階級で、その特権は血筋によって与えられる、ということは古今東西のあらゆる中世ものの作品を見てもおわかりでしょう。実際、ダリ自身も自分のいる場所をわかっているからこそ、家に縛られたくないと思いながらも人間の女であるスーに対して「ドブネズミの匂いがする」(シリーズ共通の人間やダンピールを蔑む言葉)と冒頭から言っています。
そのダリが、ダンピールであり、自分の血の繋がった子供ではないウルに対して、あんな言葉をかける。
愛する妻や、命の恩人であるスーの死に際の願いを受けて、彼がそんなふうに変わっていく、その姿が愛おしくて印象的で。だからこそ愛の物語だなぁと思うのです。

 

シリーズの他作品を見て、「呪いに負けるな」と願ったウルの行く末を知っているからこそ、その瞬間の、彼の願いの純粋さがクローズアップされて胸に迫ってくるんですよね…。ああ…なんてつらいんだろう。でも、人を思うことってなんて美しいんだろう。

血の繋がりが重視される世界の話を書きながらも、その血の繋がりなんてものの不確かさを時に愚弄し、血の繋がりがなくたって人が人を思う気持ちがいかに尊いかということを末満さんは示してくれます。愛情は時に憎しみに変わることもあるよ、ということもセットで。
そういう、一筋縄ではいかない複雑な世界をそのまま見せてくれるところが末満作品の好きなところです。

 

愛の話だなと感じたところはほかにも色々あります。

  • ゲルハルトがダリに理想を託そうとする気持ち
  • ダリのゲルハルトに対する、普段は言葉にしない親愛の情
  • スーの二人のウルに対する愛情
  • フリーダのスーに向ける労りやまるで妹に対するような態度
  • ゲルハルトの父親やマリア、アンジェリコに対する複雑な感情
  • キキ、アンリ、オズの三人の関係性の中に満ちる愛情
  • バルラハのアンリに対する執着(アンリを通してTRUMPを見ていたのかもしれないし、研究対象でしかなかったのかもしれないけれど、それでも、パンフレットでバルラハ役の窪寺さんが言っていたように、なんらかの愛情はあったのだろうと思います)
  • ダミアンのTRUMPに対する愛情(それはもうコピーを量産する中で意味が変わってしまっているかもしれないしTRUMPはそれを受け取りたいとも思っていないかもしれないけれど…)

もうね、それぞれの関係性の中に愛が充ち満ちていて、むせかえるほどでした。みんなが愛を持っていても、うまくいかない。残酷極まるグランギニョルになってしまう。切ないですよね…。切なくも美しく、愛しい、このグランギニョルの世界観が大好きです。

 

そのほか

あとふたつ、どうしても言っておきたいことをひたすら語ります。

 

ひとつめ。
いやあ、美の暴力ですね!!!!
主演二人が美しすぎました!!!!
お顔の話だけではありません。いや、お顔も相当に美しいですけれども。重たそうなドレープのたっぷり入った美しいお衣装、それをさばく指先や手つきの美しさ。殺陣の最中の荒々しくも芸術的な剣さばき。意味ありげなほほえみに、つんと上げた顎のライン。そして、彼らの魂のあり方。もうもう、すべてが美しくて、圧倒されました。
最初にダリ役の染谷さんが出てきてお美しいお姿で華麗なる殺陣を披露し始めた時点でもう、「見に来て良かった!!これだけでもチケット代おつりがくるわ!!」と思ったほどでしたもの。
春林役のとんちゃんも手脚の長さと美しさに心が翻弄されましたし、個人的にはレイン中級議員のめがね姿も大好きです。彼もすごく動ける方ですね。殺陣が綺麗でした。
フリーダ様とスーちゃんも違った美しさで素晴らしかったです。スーちゃんは儚げで透明感のある美しさ。フリーダ様は顔かたちとか声とか立ち姿はもちろんなのだけれど魂の形が美しい。「しあわせであろうと努力しています」の一言にその美しさが集約されているなと思いました。

 

ふたつめ。
めいめいのこと。これはハロヲタですので言及しない訳には参りません。キキ役のめいめいはもうとにかく、凄かったです。「あっやばい帝劇とかに出るすごい上手い子役が紛れ込んじゃった」と思いました。(めいめい10代後半だからもう子役ではないですね)
調子の外れた笑い声が、でも聞いていて、耳につんとくる嫌な感じじゃないのが凄いなあと思いましたし、歌声も健在どころかどんどんミュージカル畑の人みたいな歌い方に進化していっていて「繭期の子守歌」には泣かされました。すごい。
アクションも繭期のヴァンプに咬まれまくって戦闘力が高まってしまった女の子の説得力を感じました。やっぱり動けるなーめいめい。
「愛してあげるわ」と「殺す」の二つを同じテンションで語れるのもすごい。その二つを繋ぐものが「狂気」なんだと思うんですけど、狂気をまとった演技はめいめいの右に出るものはいないなあと思いました。
最後に舞台袖にはける瞬間に涙をぐいぐいってぬぐう感じで去って行ったのももう泣けました。


はあー、とりあえず今日はここまで!!しっちゃかめっちゃかで、見ていないけれどとりあえずあらすじを知りたい人に不親切なブログですみません。明日も観劇予定なのでまた語るかもしれないし語らないかもしれません。ツイッターでは多分語りますのでよかったらフォローしてください(当面はネタバレしない範囲で語ります)


グランギニョル見たけど他作品は見れていないという人、絶対見た方が楽しいので他作品もよろしくお願いします!!

投資したら投資しただけの価値はありますし、絶対他の作品をもう一回見たくなって何回でも観てしまうループにはまること請け合いなので!ぜひとも!!!!ついでに言うならモーニング娘。とアンジュルムはいいぞぉ、ハロプロはいいぞぉ、歌って踊れて可愛いぞぉ、ということで特にLILIUMをよろしくお願いします!!

ではまた!

 

Dステ12th『TRUMP』Blu-ray

Dステ12th『TRUMP』Blu-ray

 
演劇女子部 ミュージカル「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」 [DVD]

演劇女子部 ミュージカル「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」 [DVD]

 
Patch stage vol.6 「SPECTER」 [DVD]

Patch stage vol.6 「SPECTER」 [DVD]

 
ピースピット2017年本公演 『グランギニョル』 [DVD]

ピースピット2017年本公演 『グランギニョル』 [DVD]