七転び八起き

ハロプロと、恋人のキツネさんとの同性同士の同棲生活。

星屑バンプとごく個人的な経験の区切り(「死ぬ気でやってみろ、死なないから」)について

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先週三回観劇してからザ・コンボイショウ星屑バンプのことをずっと考え続けています。星屑バンプ関連のブログも増殖する一方(笑)単純に笑ってキャーキャー言って一緒になって拍手して楽しめる中毒性と、考えさせられるストーリーのあいまった舞台で、本当にすごいなと思います。

 

過去ブログ↓

 

今日はどうしても書きたかった、劇中の台詞、「死ぬ気でやってみろ。絶対死なないから」について書きます。

 

星屑バンプの中で特に印象的だった台詞のひとつが、黒須さんが独白シーンでおっしゃっていた、「死ぬ気でやってみろ。死なないから」という台詞です。
客席へのメッセージでもありつつ、コンボイの若手メンバーへのメッセージでもあるのかな、なんて思いながら見ていましたが、その言い方や雰囲気がとてもいいんですよね…。黒須さんが包み込むような微笑みを浮かべながら、ちょっとこちらに身を乗り出しながら、そう言ってくれるんです。

 

この台詞が心に残るのは、多分そのセリフを書いたねずみさんも、それの台詞を語る黒須さんも、「死ぬ気でやった」経験があるからだと思うんです。コンボイのオリジナルメンバーの皆さんのパフォーマンスにはその説得力があります。一度は死ぬ気でやった経験があって、そして今も努力を続けられているから、50代になっても若者に引けを取らないパフォーマンスを続けていられる。ましてや、ダンスという体力を要する、加齢が大きなマイナス要素になるジャンルで。すごいですよね、本当に。コンボイショウを見るたび毎回感嘆します。

 

その説得力ある言葉には、勇気づけられもしますし、一方で、不安や怖さも感じるんです。

もしわたしが、「死ぬ気で頑張る」こともできないような、ダメな人間だったら?

そんなことを思ってしまいます。

 

かつて、わたしには全く同じ台詞を言ってくれる上司がいました。怖がりで最初の一歩をなかなか踏み出せないわたしに、その上司はいつも言ってくれました。「大丈夫大丈夫。死なないから」って。

彼は、その更に前の上司みたいに、わたしのことを駄目扱いせず、信じてくれていて、いつも見てくれていた、今でも尊敬している人です。

でも彼は畏怖の対象でもあります。あまりにすごすぎるんです。信じてくれてはいるけれど、わたしが、わたしなんかが、そのレベルに到達するのは無理って思ってしまうくらいの凄いひとでした。

だから、怖い。尊敬する人に、大丈夫だよって促されても、「死ぬ気でやれない」駄目な人間かもしれない。基準に達することができないかもしれない。期待をかけられてもなにひとつ返せないかも。そんなふうに思ってしまっていました。

あまりにすごい人だけれど、その上司もかつてはわたしに似たタイプの営業マンだったといいます。基本的に人よりモノやコトに興味があるタイプで、ひとつの会社とどっぷり関わる方が好きで、一般的なイケイケ営業マンみたいに、数をこなせないタイプ。それでも彼は彼のやり方で、売り上げをあげてきたから、誰からも「すごい」と思われるような今がある。

頭ではわかります。わたしもいつかそんなふうになれるかも。その上司だって、昔は新人だった。

でも心では決してそう思えなくて、プレッシャーで押しつぶされそうでした。

 

結局、わたしはその上司の下から離れました。決定的にわたしとその上司の正義が違っていたことと、わたしが彼の思う正しいあり方に添えなくて、何度も何度も反省文を書き直しさせられて、それでも理解することができなかったことが原因でした。結果的に死にたい、わたしはなんて駄目なんだろう、もう無理、って思ってしまって、退職する決断をしました。

退職する時に色紙をもらったのですが、その上司のコメントには「追い詰めてごめん」と書かれていました。そのことを思い出す時、ひとことではとても言えない、複雑な感情にかられます。きっと彼も悪気があったのではなかった。そう信じたい。

でもだとしたら。わたしが単に弱かっただけなのかな?わたしはもっともらしい理由をつけたけれど、やっぱり逃げ出したんだろうか?

極力考えないように、心と体の回復を優先してきましたが、今でも、喉に魚の小骨がひっかかっているかのように、このときの出来事と感情がずっと頭の片隅にひっかかっています。

 

星屑バンプの全体的なメッセージのひとつとして、長年第一線で戦ってきたオリジナルメンバーから、世の若者たちに向けて、「俺たちだって同じ道を通ってきた」「俺たちだって、この歳になっても、今も君たちと同じように挑戦し続けている。一緒にやっていこうよ」というメッセージがあるように感じています。

わたしが、あの頃、尊敬する上司から託されて、受け止めきれなかった同じ思いを、また形を変えて託されているような、そんな気持ちになります。

このメッセージって、きっとねずみさんが普段からコンボイの若手メンバーに対して考えていることと重なるところもあるんじゃないでしょうか。(勝手な推測ですが。)

そして、 若手メンバー四人のインタビューを見て、わたしは勝手に、メンバーのうちのひとり、荒田至法くんに自分を重ね合わせてしまいました。


至法くんはこのカンパニーに属して初めての舞台、asiapanではかなりの厳しい指導に「向いてないかも」と思い、「手の震えが止まらない」というところまで追い詰められてしまったそうです。それでも、仲間に支えられてその時期を乗り切り、asiapanの舞台上で素晴らしい経験をし、いま、星屑バンプという作品では明らかにその輝きを増しています。前作では名前と顔がまだちゃんと認識できないくらいの感じだったのに、今や自然に至法くんを目で追ってしまいます。

頑張ったんだなぁ、と思います。頑張って、折れそうになっても続けてくれていて、本当に本当に良かった、本当にありがとう。あなたが続けていてくれたからこそ、こんなふうに何本もブログを書いてしまうような心に残る作品が出来上がったし、それはあなた以外の誰かが同じ役をやっていてもきっと駄目だった、と思います。
わたしも、「大丈夫、絶対死なないから」と勇気づけてくれる上司の下で続けていたら、至法くんのようになれたのでしょうか。とんでもない成長を遂げて、輝けていたのでしょうか。

 

あのとき、もちろんら上司のやり方の問題もあって(世間的にはパワハラと言われるレベルの指導でしたし、残業未払いの問題はどんなに理屈をつけたって納得できない問題でした)、会社を辞めたこと自体は後悔していませんが、それでも、わたしの中で、「逃げてしまった」「期待に応えられなかった」という思いが残って、いつまでも消化できていないのも事実で。

期待をかけてもらって、プレッシャーも感じるけれど、それ以上に「死ぬ気でやってみる」ことや、コンボイの皆さんのような、やり遂げたひとの輝きに、どうしようもなく憧れてしまうのも事実で。

 

仕事に対してだけではないと思っていますけれど、なにかのかたちで、「死ぬ気でやってみる」時間を過ごしてみたい。あらためて、そんな気持ちになっています。あのとき、やれなかったからこそ。

 

…ああ、なんだかやっと、一年半前に前職を辞めてからずっとわだかまっていた気持ちに少し区切りがつけられた気持ちです。本当に星屑バンプに出会えて良かった。

長い文章になってしまいましたがここまで読んでくださってありがとうございました。

ではまた!