七転び八起き

ハロプロと、恋人のキツネさんとの同性同士の同棲生活。

【DVD感想】春風外伝~お祭り騒ぎの楽しくかわいい「ジャンク歌舞伎」~

あー、楽しかったー!春風外伝!

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楽しかった!って言って見終われる舞台は貴重です。特に疲れてるときとかね(笑)
最近おん弥次喜多見ながら考えたり感情を振り回されたりしていて、すごい楽しかったんだけどちょっと疲れてきたところもあり。
そういうタイミングで見た春風外伝DVDはなんだか肩の力を抜いて楽しめました。

 

あらすじは公式から引用させていただきます。

時は江戸時代、天下を治めるは第八代将軍・徳川吉宗(花園直道)。
幕府は全国に倹約令を発令、特に娯楽の類いを強く規制した。
幕府直属の忍者部隊が、言葉巧みに娯楽への興味をそぐ「口車の術」を使い、
楽しむ事への欲求を奪った。この行き過ぎた娯楽規制は、吉宗に仕える忍び、
七代目服部半蔵(天宮良)の仕業だった。
将軍を言葉巧みに押さえ込み、政治を影から操つり真の天下泰平を目論んだのだ。
しかし、この国で唯一幕府の規制をはねのけ、昼夜ドンチャン騒ぎを繰り広げる町があった。
尾張の国(今の名古屋)、尾張藩藩主 徳川宗春(石坂勇)の納める町だ。
宗春は、将軍吉宗に「桜が満開になる頃、日本一の町を見せる」と約束をする。
尾張一の芝居小屋のプロデューサー桃奴(蒼井翔太)と、側近文三(藤原祐規)を連れ、
町に繰り出した。
一方、娯楽があふれる町・尾張では争いごとも絶えない。町を牛耳るヤクザ、
銀八一家と元歌舞伎役者・齊藤十兵衛(舘形比呂一)のお文(愛原実花)争奪戦が勃発。
ついつい厄介ごとに首を突っ込む宗春は、言わずもがなその争いに巻き込まれていく。
そんな中、尾張の町に「口車の術」をかけるべく、服部率いる忍びの一行が到着する。
時を同じく、宗春との約束を待ちきれない将軍吉宗もまた尾張に入るのだが…。

(SHUNPU Gaiden~春風外伝~ | TOKYO 七福神 GEKIJO より引用)

ま、こんな感じで「エンタメが人の心に与えるいい影響」についての物語だからこそ、中身は本気のエンタメで。歴戦のパフォーマンス集団コンボイの中でも屈指のダンスのうまさの舘形さんが美しく舞い踊り、蒼井翔太さんが本気で女子にしか見えない女装でキラキラを背負いながら歌い、ふっきーさんしゅんりーさんをはじめとする皆様が本気で笑わせ。でっかいアフロのやくざも出てきて。(もう彼はそこに存在してるだけで楽しい) ずっとニコニコしながら見ていられる楽しい舞台でした。

 

キャラクターが全員可愛い

本作の魅力の一つはキャラクターだと思います。悪役含めて、全員憎めないキャラなのです。
主人公はサムさん演じる松平宗春様。ちょっと「藩主やりたくないからのんびり尾張に行く」みたいなところはありますし、側近の文三さんを振り回してばかりですが、度量のでかい、かっこいいお人。

サムさんが出会う尾張の劇場の看板役者、十兵衛さん。十兵衛さん役の舘形さん、コンボイで見てから大好きなのですが、舘形さんのものすごい美麗な体つき、目つき、しぐさを生かしまくった役でした。十兵衛オンステージが一か所あるのだけど、とんでもなく美しい。ずっと見ていたい。でもそんな彼が妹のお文ちゃんを助け出す計画は穴だらけだったり、書いた地図が小学生レベルのへたくそさだったり、役者の仕事に並々ならぬ熱意をもっている彼に宗春様が「歌舞伎ってこんなんだろ?」と真似してみせたのに対して「ぜんぜんちがう」と半ギレして本気ダンス指導しはじめたりと、カッコイイだけじゃない。なんだか可愛い。

その敵役の服部半蔵氏も悪役ぶってますが、カラスと会話したり宗春様につられてついついタップダンスしちゃったりと憎めない。あがささんの演じる夜鷹火影さんはそんな父の過ちを正そうとするのだけど、もう衣装がすごいセクシーであがささんにめちゃくちゃあってる。そしてめっちゃ踊る。表情もダンスもめっちゃかっこいい。 でもあがささんと仲良しの平賀に「よるよる」って呼ばれるの嫌がるところとかがかわいらしい。そんな平賀役は高木俊さん。しゅんりーさんはまあどの舞台でも楽しい人だけど今回発明家の平賀として大活躍。編み物ロボットやら楽しいダンスするロボットやらいろんなものを作ってくれる。

尾張の遊郭を経営するやくざ、銀八さん。もうね、銀八さんはほんと楽しくてかわいい。粋がってる。妹のお文ちゃん身請けしようとする十兵衛について、「あいつに会ったら言っといてくれ。今度会ったらこのアフロでお前をボンバーするとなあ!」とかって言っちゃう。アフロでお前をボンバー。なんだそれは。全然怖くない。面白かわゆい。そして宗春様にアフロを褒められるとすぐ懐柔されちゃう。アフロで酒を飲む。めっちゃたのしい。

 

蒼井翔太さんの魅力

蒼井翔太さん、初めてマトモに見たのだけど本当にすごい。まず外見も歌声も完璧に女子。普段の喋り声はたまに雄々しいんだけど、基本的には女子。でもこの人もすごい面白い。尾張の劇場のプロデューサー、桃奴役なのだけど、すんごい輝いている。姉御肌。やたらと英語を交えて喋る、その英語部分がやたらといい発音。ラジオDJみたい。発言も行動もちょっと変。

…くっ、だめだ。桃ちゃんの良さをなんと言い表したらいいのか全然わからない。とにかく彼はオンリーワンでナンバーワン。ものすごいいい。青井翔太さん興味あってちょっと見てみたいって人には「ぜひDVD買うといいよ!」と素直にお勧めできる。

 

文三さんのこと

私の大好きな藤原祐規さん。今回は文三さん役で、宗春様に振り回されつつ仲良くしているのだけど。あの説明役も担いつつ、苦労性な感じはふっきーさんがよくやる役のイメージ。で、色気のある役も哀愁漂う役もできるふっきーさんですが今回はとにかく「かわいい」。

宗春様への恋文に混じって自分あての恋文をもらってきゅんとしてる姿とか、ものすごい勢いで脚本を読む姿、脚本家になってといわれてまんざらじゃない姿などなど、ちょっとしたシーンもやたらとかわいらしい。けれども。今回の見どころはそれだけではなく。

なんとタップダンスを…!宗春様と半蔵との対決の中で、一緒にタップダンスをするのです!びっくりした!ふっきーさん、もちろん舞台の中でダンスしたり歌ったりはするけれどタップダンスしてるのは春風外伝でしか見られないのではないかしら。けっこう様になっている。すごい。

一座の脚本家になった文三さんは、服部氏との最後の戦いの中で、どれだけ物語を暗い内容に書き換えられても抵抗します。その必死な姿がいじらしくて「文ちゃん頑張ってー!」という気持ちになります。脇役なようでいて実はけっこうキーマンな文ちゃん、大好き。 

 

ちょこちょこ挟まれる笑いの質がやたら高い

お笑いシーンってどの舞台にもありますけど本作のお笑いシーンはほんとに秀逸。以下、順不同で面白かったシーン。

  • 遊郭に行こうとする宗春様を止める文三さん。遊郭の人の真似をする文ちゃんに「どんな子にします?」と聞かれて宗春様は「ツンデレな子がいいなあ」と答える。そしてついでに「お前はどういう子がいいんだ」って聞かれて「ドジッ子」と答えてドジッ子って例えばどういうのかをやらされる文ちゃん。渾身のドジッ子をやってるうちに宗春さん退場。がっくりする文ちゃん。帽子が外れる。やたらめったらかわいい。そして面白い。 
  • しゅんりーさん演じる平賀は常に面白い。どこがって言えないくらい。唐突にけん玉するし。突っ込みがさえわたるし。ダンスはキレキレだし。
  • 犬と猿というあがさ姐さんの部下二人のコントもものすごい面白い。こういうものにありがちな会場の苦笑をしばしばとってしまうやつじゃなくてガチ面白い。
  • カラスと会話しだす服部半蔵。カラスがお酒つくってくれる。カラスは自分もそれを飲んで酔っ払って「ああ~ん、酔っちゃった♡カラス酔わせてどうすんのよ♡」とかやる。おもしろかわいい。
  • あんなに可愛くて美しくて女性にしか見えない桃奴姐さん。時々すごいドスの効いた雄々しい声を出す。
  • その人がキラキラしてることを表現するためにほんとにキラキラ型のなにか持った人が後ろでキラキラさせる。たまにやりすぎて「うるさい」とか言われたりする。

ああっ…!ダメだ全然伝わらない…!面白領域を面白く伝えるの苦手で…!すみません!でも誰が見ても面白いと思える面白さだってことは保証します!

 

ダンスと歌と演出の派手派手お祭り感

劇中では設定が設定だけにダンスも歌も踊りも満載。どれも好きなんだけれど、全般的にお祭り感溢れてていいんですよねえ。全員出てきて「わっしょいわっしょい」やりだすこともしばしば。そして桃奴姐さんオンステージもしばしば。姐さん歌めっちゃ上手いし、仕草はガチ女性だし、無条件に「きゃー!姐さんー!」って言ってしまうオンリーワンでナンバーワンの魅力がある。

そして、エンディング曲では一人一人の魅力を引き出しまくった演出で、一人ひとり見せ場があって。最後まで楽しめる!猿の子とやくざのアフロ親分と、吉宗様と半蔵さんが刀をつかって踊るところはすごくカッコイイです。あ、吉宗様のことすっかり書き忘れてましたけど、舞踊家さんなだけあって動きが美しい。文ちゃんは桃奴姐さんと踊るところがあるのですけどリードされて腕の中でくるっと回ります。そのあと「なにこれ」みたいなしぐさします。そういう桃ちゃんの女性らしいのに雄々しいところと文ちゃんのかわいらしさがもうたまらない。この二人の組み合わせちょこちょこあるのだけどすごく好き。

 

まとめ

普段からエンタメに助けられて生きている私には、春風外伝の伝えたいメッセージはまっすぐに心に届きました。なんの役にも立たないし心を乱すものに見えて、娯楽作品には「希望」をいつももらっています。改めて、舞台っていいなあって思える、楽しさが詰まった作品でした!

 

DVDは売り切れてることもあったように思うので、ある時に買っておいたほうがいいかもです。(あれは一時的な在庫切れだったのかしら…?)